失業保険には景気循環に対する自動安定装置としての機能があります。
景気が上昇し、活況を呈している局面では雇用は増加し、失業は減少します。
したがって保険財政面からすると、保険料収入が増加する一方で、保険給付は減少し、保険資金が蓄積されます。
しかも好況期に公的保険の特徴と主要種目は保険料徴収の基礎となる賃金も上昇しますので、保険料収入はいっそう増加することになります。
やがて景気が下降を始め停滞すると、雇用が減少し、失業が増加し始めます。
そして保険給付が増大し、好況期に蓄積された保険資金は減少していきますが、保険給付は景気の下降期、停滞期における消費の下支えをし、生産面にもその効果が波及していきます。
景気の循環に対応しつつ、失業保険の財政の均衡は維持されます。
こうした失業保険の景気循環に関連する実際の効果については評価の分かれるところであり、歴史的には長期かつ大量の失業が発生した場合に失業保険の財政が破綻したこともあります。
雇用保険制度全体は、次の二つの制度によって構成されています。
一般被雇用者と日雇労働者を対象にして、政府が運営している雇用保険。
船員を対象にして、政府が運営している船員保険。
雇用保険の保険料負担方法は若干複雑で、一般、農林、建設、日雇、船員と職種別または業種別に保険料が異なり、一般被雇用者については被保険者である被雇用者よりも事業主が多く負担しているのに対し、日雇労働者と事業主は折半負担しています。
船員保険も折半負担になっています。
国庫からの給付費、事務費の負担も行われています。
雇用保険を取り巻く社会経済環境は、女性の職場進出、雇一用形態の多様化、労働力移動の活発化、失業率の上昇、人口の高齢化、少子化による労働力不足、高学歴化による労働者の価値観の多様化、技術革新、高度情報化の進展、国際的な経済摩擦など急激に変化してきています。
円滑な職業生活の継続を可能にするための職業紹介制度や職業訓練制度など、各種の施策との調和のとれた雇用保険のあり方を検討すべき時期にきています。
同労災保険の特徴と問題点これまでに取り上げた社会保険には、事業主だけから費用が徴収され、運営されている制度はありませんでしたが、労災保険では、他の社会保険よりも事業主の責任が数段重くなっています。
歴史的には、工場などを建設して事業を行う事業主は、当然のこととして、事業主自身または被雇用者の過失の有無にかかわらず、労働災害を引き起こす可能性、つまり必然的に事業主の責任が認められる職業上の危険を有しており、労働災害に対する補償を被災労働者に行うべきであるという考え方が十九世紀後半に欧米諸国で承認されるようになりました。
そして、この補償を確実に履行できるようにするための制度として登場したのが、労災保険です。
日本では、公的医療保険と公的年金保険が第二次世界大戦前に創設されていたのに対し、労災保険と失業保険はともに戦後創設されました。
労災保険は、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害または死亡に対して迅速公正な保護をするために、必要な保険給付を行い、併せて被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者とその家族の援護、適正な労働条件の確保などを図ることによって、労働者の福祉の増進に寄与することを目的にした公的保険です。
農林水産業のごく一部の事業が暫定的任意適用事業であるほかは、労働者を使用する事業すべてが、労災保険の強制適用事業になり、労災保険では、療養、休業、障害、死亡に関する現物給付(療養の給付と現金給付(一時金・年金が多様な方法で行われています。
労災保険制度全体は、次の四つの制度によって構成されています。
一般被雇用者を対象にして、政府が運営している労働者災害補償保険。
国家公務員を対象にして、政府が運営している国家公務員災害補償。
地方公務員を対象にして、地方公務員災害補償基金が運営している地方公務員災害補償。
労災保険の保険料は、事業主によって全額負担されていますが、保険料は業種ごとに異なります。
国庫負担も一部あります。
労働災害は減少傾向にあるとはいえ、事故隠しが行われたり、過労死に象徴される新しい形能の労働災害が顕在化してくる可能性も否定しきれません。
急速な技術革新と高齢労働者の増加が予測されているおりから、労災保険も環境変化への対応が欠かせない状況にあります。
そして戦後、イギリスのみならず、日本を含む多くの福祉国家の建設を目指す国々の研究者や行政担当者などに、必ずしもそのまま受け入れられたわけではありませんが、社会保障のあり方を示唆する、もっとも重要な著作のーつとして,多大な影響を友ぼしました。
しかし注意すべきは、「報告」の中で社会保険の必要性を強調すると同時に、自助努力の必要性と私的保険の意義を明言している点です。
「高い支出水準に備えることは本来個人の役割であり、それは自由な選択の問題であり、また任意保険の問題である。
ただ園は、その施策においてそのような任意保険の余地を残すようにし、むしろこれを奨励するように努めなければならない。
保険業法の全部改正によって規制緩和が促進されると、保険業界には新分野開拓の可能性が広がってきますが、それらがすべて消費者利益の増進に直結しているとはいえません。
生命保険と損害保険の事実上の兼営が行われる時代には、消費者も高度の保険知識一を身につけておくことが必要です。
消費者から見た保険産業の課題と展望バブル経済崩壊後の保険業界バブル経済崩壊後の生命保険業界一九八年代に膨張を続けた日本経済も、一九九年代に入ると低迷してきます。
バブル経済崩壊の影響は、一九八年代に著しく資金量を増やし、不動産や有価証券への投資のみならず、資金貸付を通じても、バブル経済に深く関与してきていた保険業界にとって、含み益の減少と不良債権の累積をもたらすなど、きわめて深刻でした。
ことに一九八八年度末に約三七兆円あった生命保険大手入社の株式含み益は、一九九年度末に二二兆円弱、一九九三年度末に一兆円弱へと激減し、一部の生命保険会社については株式含み益の消滅が取り沙汰されるまでになりました。
しかも、この間に保険業界が販売に力を入れた保険種目の中には、生命保険では一時払い養老保険、変額保険、損害保険では積立型長期保険などのように、バブル含みの経済のストック化に対応したものが少なからず含まれており、バブル崩壊後は、これらの商品の販売が伸び悩み、保険業界は保険資金運用と保険取引の両面で痛烈な打撃を受けることになりました。
バブル景気後に到来した第二次世界大戦後有数の長期不況によって、戦後ほぼ一貫消費者から見た保険産業の課題と展望して順調な発展を遂げてきていた保険業界は苦境に立たされることになりました。
まずバブル経済の崩壊は、特に生命保険会社に巨額の不良債権を累積させることになりました。
貸付金に対する比重は大きくないものの、生命保険大手八社のうち六社は軒並み一億円以上の不良債権を抱え込み、不良債権の償却のために株式売却益と不動産売却益を充てるほか、金利減免措置を講じたり、債権を放棄したりせざるをえなくなる会社も出てきました。
ちなみに、一九九五年度末の生命保険大手入社の不良債権(貸付先が破産状態にある破綻先債権と六カ月以上利払いが滞っている延滞債権の合計額は約四七三七億円です。
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